王道の英語学習で遠回りした私が、オンライン英会話の恐怖心を捨てるまで

仕事

仕事の現場で英語が必要になった。それが直接のきっかけでしたが、私にはもう一つ、心に描き続けている未来があります。それはリタイア後、悠々自適にヨーロッパを旅することです。

かつて訪れたドイツのように、歴史の重みを感じる古い建物の前で立ち止まり、その由来を現地の人に尋ねてみる。あるいは、気取らないレストランで隣り合わせた人と、地元の食文化について少し深い話を交わす……。そんな、ガイドブックをなぞるだけではない「自由な旅」を楽しめる英語力が欲しい。その強い願いを胸に、私は「王道」とされる英語学習に全力で乗り出しました。

信じて疑わなかった「王道の英語学習」の日々

当時は、世間で言われる「王道」こそが一番の近道だと信じて疑いませんでした。

  • TOEICを目標に据えて、分厚い単語帳をひたすら暗記する。
  • YouTubeの英語学習コンテンツを、移動中も毎日欠かさず視聴する。
  • そして、毎日オンライン英会話のレッスンを受ける。

覚えた単語が増え、聞き取れるフレーズが少しずつ増えていくプロセスそのものが「趣味」のように楽しくなり、充実感もありました。「これだけ努力を積み上げているんだから、いつか自然に口から英語が溢れ出す日が来るはずだ」。そう確信していたのです。

ところが、肝心の英会話レッスンで、私は思わぬ「空白の時間」に直面することになります。

「オンライン英会話」さえも、インプットに過ぎなかった

オンライン英会話のレッスンでは、常に用意された教材がありました。そこに書かれた英文を講師の後に続いてリピートし、ロールプレイを行う。それは非常にスムーズにこなせます。しかし、問題は「教材を一歩離れた時」でした。

講師から不意に自分の意見を求められたり、教科書にない話題が振られたりすると、途端に頭が真っ白になり、言葉が完全に消えてしまうのです。

あんなに必死に覚えたTOEICの難単語は、実際の会話では一つも脳をかすめません。毎日YouTubeで浴びるように聞いていたはずのフレーズも、自分の口からは一言も出てこない。

ここでようやく、私は残酷な事実に気づきました。「教科書をなぞるだけのオンライン英会話」は、私にとって結局のところ、形を変えただけの「受け身のインプット作業」でしかなかったのです。

英語を「知っている」ことと、手持ちの知識を「組み合わせて自分を表現する」ことは、全く別の筋肉を使う訓練。私はその肝心な「アウトプットの筋力」を、ずっと眠らせたままにしていたのでした。

教科書を捨て、「フリートーク」で自分を表現する

このままでは、どれだけインプットを重ねても現実は変わらない。そう痛感した私は、思い切って教科書を閉じ、ガイドのない「フリートーク」への挑戦を自分に課しました。

教材というカンニングペーパーがない世界は、最初は冷や汗の連続であり、恐怖さえ感じました。しかし、この「逃げ場のない負荷」こそが、私の英語を本当の意味で動かし始めました。今の私が、同じ悩みを持つ方に推奨したいのは、以下のマイルールに基づいたフリートークの実践です。

  1. 「今日の一言」を使い倒す: 欲張らず、その日の会話で「これだけは使う」というフレーズを一つだけ決め、それを軸に話を深掘りする。
  2. 「言えなかった悔しさ」を翌日に繋げる: 会話中に詰まってしまった、表現できなかったことを放置しない。レッスン後に必ず確認し、次回の「自分の武器」としてストックする。

難しい単語は必要ありません。中学生レベルの基礎的な単語を、パズルのようにどう組み合わせて、今の自分の思いや状況を伝えるか。この泥臭い「組み合わせの訓練」を繰り返すうちに、あんなに強かった英語への恐怖心は、とりあえず消えてなくなりました。

自由な旅への第一歩

「勉強している自分」に酔い、満足する段階はもう終わりました。 今の私にとって英語は、暗記の対象ではなく、自分の思いを届けるための「道具」です。

いつかヨーロッパの街角で、歴史ある建物の影を眺めながら、現地の人と穏やかに言葉を交わす自分。その姿を思い描きながら、私は今日も「自分を表現するパズル」を楽しみ続けています。

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